〜『絽刺し』 とはどんな手芸なのだろうと お思いの方の為に〜


普通 刺繍といえば布のうえに絵を画き、それを刺繍糸でカバーしていくというものです。

絽刺しはその布が絽刺用に特別に織った絽を使います。絽といえば まず着物、帯などの
絽布を思い浮かべますが、絽刺用の絽布はそれらとは違い、下に述べた様な特徴があります。
例えば 1センチ角で言えば、帯の絽布は4段弱で、13目 で5本絽といい
絽刺用の絽布は6段18目になり、3本絽と言われています。


絽
絽
着物などの絽
絽刺しの絽
これは5本絽です。
帯用のものは5本絽で35Cm幅で、
着物用のものは5本絽と3本絽とあり、
幅は37.5Cmです。

こちらは絽刺し用のものです。
3本絽を使いますが幅は絽刺し用に
織られているので63Cmです。


刺し方はクロス ステッチ、プチ ポアン と同じに目から目へと糸を巻く様に刺しますが、
違うところは決して斜めではなく、必ず垂直に糸を巻き、昔から伝わっている絽目を数えながら
刺していく幾何学模様(網代、松川菱 など)、又は墨で下絵を画いた模様を自在に埋めながら、
絵を描くように刺していく方法とがあります。
いずれにしても、絽布を全部刺して埋めてしまうところが、他の刺繍のように
地をのこして模様だけを刺繍するものとの、大きな違いです。

布地
絽布は本絹で絽刺し用に特別に織ったものに、刺し易いように糊を強くしてあります。

本絹で絽刺用に特別に作ったものです。この他、金銀糸、うるし糸、錦糸などがあります。

絽刺用に作ったものが有りましたが、近頃はメリケン針などが使い勝手が良いと思えます。

木製で用途別にいろいろな大きがあります。

どの様な工程かとお思いの方に、一番簡単な絽目を数えて、亀甲を刺す工程をお見せすると・・・・

工程1 1:絽を張った枠にまず、亀甲を3つ刺します。
工程2 2:次に最初に形作った亀甲の内側に同じ刺し方を違う色で刺します。
工程3 3:中の模様を刺します。これを見て気が付かれたと思いますが、
  他の刺繍と違う特徴の一つとして、刺し始めの糸が模様と同じ面に
  刺し始めのコブを残し、裏を刺したい所まで糸を運ぶという事です。
  これにより、模様全部を刺すという工程で、刺し終わった時に
  裏の糸はカバーされ表のコブを切っても、ほぐれて来る事が無く
  きれいに糸の始末が出来るという事です。
工程4 4:3の工程の次に亀甲の中を基本ざし(地ざし)で埋め、
  仕上げ(どの絽刺しの作品もそれぞれ仕上げの仕方があり、
  それに従って仕上げをします。)をすませてから、
  きれの上にアップリケをします。

完成 5:この亀甲模様は茶道のお稽古の時に使う懐紙などを入れる”すきや袋”に
  仕立てました。

  袋全部を絽刺しで作るのも良いものですが、この様に一部分につけるのも初心者の方には
最初のチャレンジとして楽しいと思います。

参考作品 参考:袋全部を絽刺しで作るとこのようになります。


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